マンションの漏水後、壁紙の裏のカビは大丈夫?💧|仙台で張り替え前に検査をしておくべき理由
2026/10/17
仙台のマンションで上階から漏水した後、壁紙の裏で進むカビを張り替え前に確かめる方法
上階からの水漏れ・給排水管の漏水の後に残る下地の水分と、報告書を使った話し合いの進め方
こんにちは😊 東北地方のカビトラブルを解決する MIST工法®カビバスターズ仙台です!施工・現場リーダーの稲垣です。
「上の階から水漏れがあって、天井と壁が濡れてしまった。管理会社が壁紙を張り替えてくれることになったけれど、それで本当に大丈夫なのだろうか」「給水管の漏水は直ったのに、部屋に入るとなんとなくカビ臭い」。仙台市内の分譲・賃貸マンションにお住まいの方から、こうしたご相談をいただくことがあります。
マンションの漏水は、原因の配管を直したり、上階の設備を修理したりすれば、水そのものは止まります。ところが、一度濡れた壁紙の裏の石膏ボードや、床の下地、天井の中は、表面が乾いた後も水分を含んだままになっていることがあります。その上から新しい壁紙を貼ってしまうと、湿った下地に「ふた」をすることになり、しばらくたってから新しい壁紙の裏でカビが出てくる、というケースも見られます。
この記事では、漏水の後に壁紙の裏や床下地に水分がこもる仕組み、張り替え前に確認したいサイン、含水率検査・真菌検査で範囲を記録する意味、そして管理会社や上階の住人、保険会社とのやりとりで報告書がどのように役立つのかを、現場の目線で整理してお伝えします。気持ちの負担が大きい漏水トラブルを、少しでも落ち着いて進めていただくための材料になれば幸いです。
目次
第1章|漏水が止まった後に残る不安
「止まった」と「元に戻った」は同じではない
マンションの漏水トラブルは、ある日突然やってきます。天井からぽたぽたと水が落ちてくる、壁紙が濡れて色が変わっている、床が水浸しになっている――そうした状況に気づいたとき、多くの方はまず管理会社に連絡し、上階の住人と連絡を取り、水を止めることに必死になると思います。
漏水の原因はさまざまです。上階の洗濯機の排水ホースが外れた、浴室やキッチンの排水管が詰まってあふれた、給水管や給湯管の継ぎ目から水が漏れた、共用部分の配管が劣化していた、などが代表的なものです。原因が分かり、修理が終わって水が止まると、ひとまずほっとされることでしょう。
しかし、ここで知っておいていただきたいのは、「漏水が止まった」ことと「部屋が元の状態に戻った」ことは同じではない、という点です。漏水で濡れた天井や壁の中、床の下地には、水が止まった後も水分が残っていることがあります。表面の壁紙が乾いて見えても、その裏にある石膏ボードや下地材が湿ったままになっていることは、現場では決して珍しくありません。
漏水の後によくいただくのが、次のようなお声です。
✔ 管理会社が壁紙を張り替えると言っているが、それで十分なのか分からない
✔ 見た目は乾いたのに、部屋がなんとなくカビ臭い
✔ 上階の住人との話し合いで、どこまで被害があったのかをうまく説明できない
✔ 保険の手続きで何を用意すればいいのか分からない
どれも、漏水の被害を受けた方にとって自然な不安です。漏水は自分の責任ではないことが多いにもかかわらず、生活への影響や、ご近所との関係、費用の負担など、気を遣うことが次々に出てきます。だからこそ、感覚や見た目だけで判断するのではなく、「どこまで濡れていて、今どういう状態なのか」を客観的に把握しておくことが、落ち着いて話し合いを進めるための土台になります。
マンションの漏水で特に注意したいのは、被害の範囲が見た目よりも広がっていることがある、という点です。天井から落ちてきた水は、天井の中を伝って壁の中に回り込み、壁の中を下に流れて床の下地に届くことがあります。天井のシミの真下だけでなく、離れた場所の壁や床に影響が出ていることもあるのです。
また、マンションは鉄筋コンクリート造で気密性が高く、室内の空気が外に逃げにくいという特徴があります。仙台市内のマンションでも、冬場は窓を閉め切る時間が長く、結露が発生しやすい住戸もあります。漏水で入った水分と、生活の中で発生する湿気や結露が重なると、壁や床の中が乾きにくい状態が続くことがあります。
漏水の影響は、下の階の住戸だけにとどまるとは限りません。自分の住戸の床下や天井の中を通って、隣の住戸や共用廊下側の壁に水が回ることもあります。逆に、自分の住戸で気づいた漏水が、実はさらに上の階や隣の住戸から回ってきたものだった、というケースもあります。マンションは建物全体がつながった構造であるため、漏水の経路は一つの住戸の中だけで完結しないことがあるのです。
漏水の直後は、濡れた家具や家電の片付け、生活の立て直しに追われ、壁や床の中のことまで考える余裕がないのが普通です。ですから、落ち着いたタイミングで一度、見えない場所の状態を確認しておく、という順番で考えていただければ十分です。
たとえるなら、含水率の測定は「家の体温計」です。見た目の顔色が良くても、熱があるかどうかは測ってみなければ分かりません。漏水の後の部屋も同じで、表面の見た目と、壁や床の中の状態は別のものとして考える必要があります。
漏水の発生から時間がたつほど、当時の状況を思い出すのは難しくなります。いつ漏水に気づき、いつ水が止まり、どのような対応をしたのかを、簡単なメモでよいので残しておくと、後から状況を整理する際に役立ちます。
もちろん、漏水があったからといって、必ずカビが出るわけではありません。水が短時間で止まり、すぐに乾燥できた場合には、大きな問題にならないこともあります。大切なのは、「大丈夫だろう」と思い込むのでも、「きっとカビだらけだ」と不安になりすぎるのでもなく、状態を確かめてから判断することです。次の章では、壁紙の裏や床下地に水分がこもる仕組みを具体的に見ていきます。
第2章|壁紙の裏・床下地に水分がこもる仕組み
ビニールクロスと石膏ボード、二重床の間で起きていること
マンションの室内の壁や天井、床は、いくつかの材料が重なってできています。漏水の後に水分がこもりやすいのは、この「重なり」の部分です。ここでは、壁・天井・床それぞれで何が起きているのかを整理します。
まず壁です。マンションの室内の壁の多くは、コンクリートの躯体の内側に下地を組み、石膏ボードを張って、その上にビニールクロス(壁紙)を貼る構造になっています。住戸と住戸の間の壁や、間仕切りの壁も、石膏ボードとビニールクロスの組み合わせが一般的です。
石膏ボードは、水に触れると水を吸い込みやすい性質があります。漏水した水が壁の中に回り込むと、石膏ボードが下から、あるいは上から水を吸い、濡れた範囲が広がっていきます。一方、表面のビニールクロスは水蒸気を通しにくい素材です。そのため、石膏ボードに入った水分は室内側に抜けていきにくく、壁の中で湿った状態が長く続くことがあります。「表面の壁紙は乾いているのに、裏の石膏ボードは湿っている」という状態が起きるのはこのためです。
次に天井です。マンションの天井は、コンクリートのスラブ(床板)から吊り下げた下地に石膏ボードを張る「二重天井」になっていることが多く、天井の中には配管や配線が通る空間があります。上階からの漏水は、この天井の中の空間に水がたまったり、下地の木材や石膏ボードを伝って広がったりします。天井の中は空気の動きが少ないため、一度濡れると乾きにくい場所です。
そして床です。マンションの床には、コンクリートの上に直接床材を貼る「直床」と、コンクリートの上に支持脚を立てて床下地のパネルを載せる「二重床」があります。二重床の場合、床下地とコンクリートの間に空間があり、漏水した水がこの空間に入り込むと、見えないところにたまったままになることがあります。床下地のパーティクルボードや合板は水を吸うとふくらんだり弱くなったりすることがあり、歩いたときのきしみや沈みとして表れることがあります。
✔ 石膏ボードは水を吸い、ビニールクロスが湿気の逃げ道をふさぐ
✔ 二重天井の中は空気が動かず、乾きにくい
✔ 二重床の下に入った水は見えないところにたまりやすい
✔ 水は天井から壁へ、壁から床へと伝わって広がることがある
さらに、壁紙を貼るための糊や、石膏ボードの表面の紙、下地の木材、室内のほこりなどは、カビにとって栄養になり得るものです。カビが増えるには一般的に「水分」「栄養」「温度」の条件が必要とされますが、室内は一年を通じて人が過ごしやすい温度に保たれているため、壁や床の中に水分が残っていると、条件がそろいやすくなります。
漏水の時間の長さも大切な要素です。気づかないうちに少しずつ漏れ続けていた場合は、短時間で大量に漏れた場合よりも、壁や床の中で湿った状態が長く続いていることがあります。給排水管の継ぎ目からのにじむような漏水は、気づくまでに時間がかかることが多く、見た目の被害は小さくても中の状態は確認が必要なことがあります。
漏水の水の種類にも目を向けておきましょう。給水管からの漏水はきれいな水ですが、排水管からの漏水には生活排水の汚れが含まれていることがあり、衛生面での配慮も必要になります。どのような水が、どのくらいの時間、どこまで広がったのかによって、必要な対応は変わってきます。
浸水や漏水の後に「表面は乾いても中は乾いていない」という状態が起きるのは、マンションだけに限りません。戸建て住宅の床上・床下浸水の場合の仕組みについては、「床上・床下浸水の後に見落とされるカビ」で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
家具の配置も乾き方に影響します。漏水のあった壁に大型の本棚やタンスを置いている場合、その裏側は空気が動かず、壁紙の表面すら乾きにくくなります。漏水の後はできる範囲で家具を壁から離し、壁の表面に空気が当たるようにしておくことが乾燥の助けになります。カーペットやラグが濡れた場合も、そのまま敷いておくと床材の表面が乾かないため、一度めくって乾かすことをおすすめします。
このように、漏水の後の室内は「表面は乾きやすく、中は乾きにくい」構造になっています。だからこそ、壁紙を張り替える前に、中の状態を確かめておくことが大切なのです。次の章では、張り替え前に確認したいサインをご紹介します。
第3章|張り替え前に確認したいサイン
におい・壁紙の浮き・巾木まわり・床のきしみをチェック
漏水の後、管理会社や修理業者から「壁紙を張り替えましょう」という話が出ることがあります。張り替え自体は大切な工事ですが、その前に、壁や床の中の状態を示すサインがないかを確認しておくことをおすすめします。ここでは、ご自身でできるセルフチェックのポイントをご紹介します。
一つ目は「におい」です。漏水の後、部屋に入ったときにカビ臭さや湿った雑巾のようなにおいを感じる場合は、壁の中や床の下、天井の中で湿った状態が続いている可能性があります。においは、朝に部屋を開けたとき、エアコンや換気扇を動かしたとき、雨の日や湿度の高い日に強く感じることがあります。どの部屋の、どの時間帯に、どのくらい強く感じるかをメモしておくと、調査の際の手がかりになります。
二つ目は「壁紙の変化」です。漏水した場所の周りの壁紙が浮いている、波打っている、継ぎ目が開いてきた、シミや黄ばみが残っている、黒い点が出てきた――こうした変化は、壁紙の裏の石膏ボードが湿っているサインとして現場でよく見られます。漏水直後には変化がなくても、数週間から数か月たってから出てくることもあります。
三つ目は「巾木まわり」です。巾木は壁と床の境目にある細い部材で、壁の中を下に流れてきた水が最後にたどり着きやすい場所です。巾木の上の壁紙が浮いている、巾木と床の間に黒い汚れがある、巾木が反っている、といった変化がないかを確認してください。
四つ目は「床の変化」です。歩いたときにきしむ、一部がふかふかする、沈む感じがする、フローリングの継ぎ目が盛り上がっている――こうした変化は、床下地が水を吸ってふくらんだり弱くなったりしているサインである可能性があります。特に二重床の住戸では、床の下に入った水に気づきにくいため、床の感触の変化は大切な手がかりになります。
五つ目は「収納の中」です。漏水した場所の近くにあるクローゼットや押入れ、洗面台の下の収納などは、空気が動きにくく、湿気がこもりやすい場所です。収納の中の壁や床、しまってある物にカビや湿りがないかを確認してください。
✔ 部屋に入ったときにカビ臭さや湿ったにおいがする
✔ 漏水した場所の周りの壁紙が浮く・波打つ・黒い点がある
✔ 巾木まわりに汚れ・浮き・反りがある
✔ 床のきしみ、ふかふか感、継ぎ目の盛り上がりがある
✔ 近くの収納の中に湿りやカビがある
セルフチェックの際には、日付入りで写真を撮っておくことをおすすめします。漏水直後の写真、数日後、数週間後の写真を比べることで、変化があったかどうかを客観的に確認できます。こうした記録は、後で管理会社や上階の住人、保険会社と話し合う際にも役立つことがあります。
また、市販の温湿度計を漏水のあった部屋と、ほかの部屋に置いて数値を比べてみる方法もあります。漏水のあった部屋だけ湿度が下がりにくい場合は、壁や床の中から湿気が出ている可能性が考えられます。ただし、温湿度計が示すのは空気の状態であって、壁や床の中の水分そのものではありません。
セルフチェックでサインが見つからなかったとしても、壁や床の中が乾いているとは限りません。逆に、サインがあったからといって、必ず深刻な状態だとも限りません。セルフチェックは「気づくための方法」であり、判断のためには数値での確認が必要です。
天井の変化も見ておきましょう。天井のシミが乾いて薄くなっていても、シミの輪郭に沿って黒い点が出てきた、天井板の継ぎ目が開いてきた、照明器具のまわりに汚れが出てきた、といった変化は、天井の中で湿った状態が続いているサインである可能性があります。天井は見上げないと気づきにくい場所なので、意識して確認することが大切です。
また、同じ部屋に住むご家族の感じ方も参考になります。自分は慣れてしまって気づかないにおいでも、久しぶりに部屋に入った家族や来客が気づくことがあります。「なんとなくにおう」という声があれば、記録しておきましょう。
特に、壁紙の張り替えや床の補修の工事日が決まっている場合は、その前に一度状態を確認しておくことをおすすめします。工事が終わってからでは、壁や床の中を確認するには再びはがす必要が出てくるためです。次の章では、含水率検査と真菌検査で範囲を記録する意味をご説明します。
第4章|含水率・真菌検査で範囲を記録する意味
「どこまで濡れたか」を数値と写真で残しておく
マンションの漏水の後、壁紙の張り替えなどの工事に進む前に、MIST工法®カビバスターズ仙台がおすすめしているのが、含水率検査と真菌検査による現状の記録です。必要に応じてファイバースコープ調査も組み合わせます。ここでは、それぞれの検査で何が分かり、なぜ記録が大切なのかをご説明します。
まず「含水率検査」です。含水率とは、建材の中にどれくらい水分が含まれているかを示す値です。専用の測定器を使って、漏水のあった場所の壁や天井、床、巾木まわりなどを、複数の地点で測定します。同時に、漏水の影響を受けていない場所も測定し、数値を比べることで、どこまで水分が広がっているのかの目安をつかみます。
マンションの漏水で特に大切なのが、この「範囲」を把握することです。天井から入った水は壁の中や床下へと伝わって広がることがあるため、見た目のシミの範囲と、実際に濡れている範囲が一致しないことがあります。含水率を面で測っていくことで、壁紙を張り替える範囲や、下地の確認が必要な範囲を判断する材料になります。
また、時間をおいて測り直すことにも意味があります。漏水の直後と、乾燥させた数週間後の数値を比べれば、乾燥が進んでいるのか、止まっているのかが分かります。数値が下がって安定したことを確認してから張り替えに進めば、湿った下地にふたをしてしまうリスクを減らすことができます。なお、含水率の目安は材料の種類や季節、測定方法によって変わるため、一つの数値だけで良し悪しを決めつけず、比較と経過で判断することを大切にしています。
測定は、漏水のあった天井や壁の上部から下部、巾木まわり、床面へと、水が伝わったと考えられる経路に沿って行います。水は重力に従って下に流れるため、天井の漏水であっても、最も湿っているのは壁の下部や床の近くだった、ということもあります。経路を意識して測ることで、見落としを減らすことができます。
次に「真菌検査」です。一般社団法人微生物対策協会と連携し、落下菌検査や浮遊菌検査によって、室内の空気中にどの程度カビが存在しているかを確認します。漏水のあった部屋とほかの部屋、あるいは屋外の空気と比べることで、室内環境の状態を客観的に把握できます。「なんとなくカビ臭い」という感覚を、数値で確かめる手段と考えていただくとわかりやすいと思います。
そして「ファイバースコープ調査」です。天井の点検口や、コンセント・スイッチのボックス、小さな開口部からカメラを差し込むことで、天井の中や壁の中、二重床の下の様子を映像で確認できます。壁や天井を大きくはがさずに、下地の変色やカビ、水のたまりなどを目で見て確かめられるのが特長です。
✔ 含水率検査:濡れた範囲と乾燥の経過を数値で記録する
✔ 真菌検査:室内の空気の状態を落下菌・浮遊菌で確認する
✔ ファイバースコープ:壁や天井、二重床の中を映像で確認する
調査の流れとしては、まずお電話やお問い合わせフォームで漏水の状況をお聞きし、現地にお伺いして目視確認と各検査を行います。漏水の原因となった場所の修理状況や、これまでに管理会社などが行った対応もお聞きしたうえで、確認すべき範囲を決めていきます。測定した数値や映像は、その場でお見せしながらご説明しますので、専門的な知識がなくても、今の状態をご理解いただけるよう心がけています。
これらの検査結果は、報告書として記録に残します。測定した場所と数値、写真や映像の要点、真菌検査の結果などをまとめておくことで、「どこまで濡れていて、今どういう状態なのか」を、誰が見ても分かる形にすることができます。
漏水のトラブルでは、被害を受けた側と、原因をつくった側、建物を管理する側、保険会社など、複数の立場の人が関わります。それぞれが見た目や感覚で話をすると、被害の範囲や必要な工事について認識がずれることがあります。第三者の立場で現状を記録した報告書は、こうした話し合いの際に、共通の事実として参照できる材料の一つになり得ます。
調査の結果、カビへの対策が必要と判断された場合も、MIST工法®は素材を「削らない・擦らない」ことを特徴としており、下地をできるだけ傷めずに処理を進めることを大切にしています。ただ、何より先に大切なのは、処理の前に現状を正しく知ることです。調査だけのご相談でも、お気軽にお声がけください。
第5章|管理会社・上階の住人・保険会社とのやりとりで報告書が役立つ場面
感覚ではなく記録で話すための準備
マンションの漏水トラブルで、多くの方が負担に感じるのが、関係する人とのやりとりです。管理会社、上階の住人、場合によっては管理組合や保険会社など、さまざまな立場の人と話をする必要があります。ここでは、そうした場面で調査報告書がどのように役立つ可能性があるのかを整理します。なお、ここでお伝えする内容は一般的な考え方であり、費用の負担や保険の適用について断定するものではありません。
まず「管理会社」とのやりとりです。漏水が発生したら、多くの場合、まず管理会社に連絡し、原因の調査と修理を依頼します。その後、室内の復旧工事として壁紙の張り替えなどが提案されることがあります。このとき、報告書があれば、「どの範囲の壁が湿っていたのか」「下地の状態はどうだったのか」を具体的に共有でき、張り替えの範囲や、下地の確認・交換が必要かどうかを話し合いやすくなります。
次に「上階の住人」とのやりとりです。上階の設備や使い方が原因で漏水が起きた場合、被害を受けた側と原因をつくった側で、費用や対応について話し合うことがあります。ご近所同士の話し合いは、お互いに気を遣うものです。感覚的な説明だと、「そんなに広い範囲が濡れたのか」「本当にカビが出ているのか」といった認識のずれが生じやすくなります。第三者が記録した数値や写真があれば、感情的なやりとりを避け、事実をもとに落ち着いて話し合う助けになることがあります。
そして「保険会社」とのやりとりです。漏水の被害について、ご自身や上階の住人が加入している保険で対応できるかどうかを確認することがあります。保険の適用の可否は、契約の内容や漏水の原因、被害の状況によって異なるため、私たちから断定することはできません。ご加入の保険会社に必ずご確認ください。そのうえで、被害の状況を説明する際に、写真や調査報告書が材料の一つとして役立つ場合があります。
✔ 管理会社と、張り替えの範囲や下地の確認について話し合う材料になる
✔ 上階の住人と、事実をもとに落ち着いて話し合う助けになる
✔ 保険会社に状況を説明する材料の一つになる場合がある(適用可否は要確認)
報告書を役立てるためには、タイミングも大切です。壁紙の張り替えなどの工事が終わってしまうと、下地の状態を確認するには再びはがす必要が出てきます。工事の前に調査を行い、状態を記録しておくことで、後から「あのときどうだったのか」を確認できるようになります。
また、漏水直後の写真も大切な記録です。天井から水が落ちている様子、濡れた壁や床、被害を受けた家具や家電などを、日付が分かる形で撮影しておきましょう。こうした写真と調査報告書を組み合わせることで、漏水の発生から現在までの経過を説明しやすくなります。
分譲マンションの場合は、漏水の原因が専有部分(各住戸の中)にあるのか、共用部分(建物全体で管理する配管など)にあるのかによって、対応の窓口が変わることがあります。賃貸マンションの場合は、まず管理会社や大家さんに連絡し、対応の進め方を相談するのが一般的です。いずれの場合も、ご自身だけで判断せず、管理会社や管理組合の窓口に確認しながら進めてください。
修理や張り替えの工事を担当する業者との連携も大切です。調査の結果、下地の一部に湿りやカビが見つかった場合は、その範囲を工事業者と共有することで、下地の交換や乾燥の期間を工程に組み込みやすくなります。逆に、下地に問題が見つからなければ、その結果をもとに安心して張り替えに進むことができます。どちらの結果であっても、工事の前に状態を知っておくことが、手戻りのない進め方につながります。
漏水トラブルは、建物の問題であると同時に、人と人との関係の問題でもあります。報告書は、誰かを責めるためのものではなく、関係する全員が同じ事実を共有し、必要な対応を落ち着いて決めるための道具です。そうした使い方をしていただけるよう、私たちも分かりやすい言葉と数値で記録をまとめることを心がけています。
第6章|よくある質問|マンションの漏水とカビの疑問にお答えします
張り替えだけで大丈夫?誰が費用を負担する?保険は?
マンションの漏水の後によくいただく質問をまとめました。状況によって答えが変わる部分もありますので、判断に迷うときは個別にご相談ください。
Q1. 壁紙を張り替えれば、カビの心配はなくなりますか?
A. 壁紙の張り替えで表面はきれいになりますが、裏側の石膏ボードや下地が湿ったままだと、新しい壁紙の裏でカビが出てくることがあります。張り替えの前に、含水率で下地の状態を確認しておくことをおすすめします。下地が十分に乾いていれば、張り替えだけで問題ないと判断できることもあります。
Q2. 漏水の後、どれくらい待てば張り替えてよいですか?
A. 何日待てばよいかは、漏水の量や時間、壁や床の構造、季節や換気の条件によって変わるため、一概にはお答えできません。日数ではなく、含水率の数値が下がって安定したかどうかで判断するのが確実です。
Q3. 費用は誰が負担するのでしょうか?
A. 費用の負担は、漏水の原因や場所、管理規約、賃貸借契約の内容、加入している保険などによって変わるため、私たちから断定することはできません。管理会社や管理組合、保険会社に確認しながら進めてください。調査報告書は、そうした話し合いの材料の一つとしてご活用いただけます。
Q4. 保険は使えますか?
A. 保険の適用の可否は、ご契約の内容や漏水の原因、被害の状況によって異なります。ご加入の保険会社、あるいは上階の住人が加入している保険会社にご確認ください。被害状況の写真や調査の記録は、状況を説明する際の材料になる場合があります。
Q5. 部屋がカビ臭いのですが、見えるところにカビはありません。調査の意味はありますか?
A. はい、意味があります。においは、壁の中や床の下、天井の中で湿った状態が続いているサインであることがあります。真菌検査で室内の空気の状態を確認し、含水率やファイバースコープで壁や床の中を確認することで、においの原因を探る手がかりが得られます。
Q6. 賃貸マンションに住んでいます。自分で調査を依頼してもいいですか?
A. まずは管理会社や大家さんに漏水の状況とにおいなどの気になる点を伝え、対応を相談してください。建物の壁や床の中の調査・工事は、所有者の判断が必要になることが一般的です。管理会社や大家さんからのご依頼で調査を行うことも可能ですし、ご入居者様からのご相談も受け付けています。
Q7. 住みながら調査を受けられますか?
A. 多くの場合、生活を続けながら調査を受けていただけます。調査にかかる時間は、住戸の広さや確認する範囲によって変わりますので、お問い合わせの際にお尋ねください。
Q8. 管理会社が手配した業者と、別に調査を頼んでもいいですか?
A. 分譲マンションでご自身の住戸の状態を確認したい場合など、ご相談いただくことは可能です。ただ、建物の修理や共用部分に関わる部分は管理会社や管理組合の判断が必要になるため、調査を依頼することを事前に管理会社へ伝えておくと、その後の話し合いがスムーズになります。
✔ 張り替えの前に、下地の含水率を確認する
✔ 張り替えのタイミングは日数ではなく数値で判断する
✔ 費用負担・保険の可否は、管理会社・保険会社に確認する
Q9. 漏水は一度だけで、すぐに拭き取りました。それでも調査は必要ですか?
A. 水の量が少なく、すぐに拭き取れた場合は、大きな問題にならないこともあります。ただ、表面を拭き取れても、壁の中や床の下に入り込んだ水分は拭き取れません。においや壁紙の浮きなどのサインがある場合、あるいは張り替えの工事を予定している場合は、一度状態を確認しておくと安心です。サインがなければ、しばらく様子を見て変化を記録する、という判断もあり得ます。
漏水のトラブルは、気持ちの負担も大きいものです。ひとつずつ整理しながら進められるよう、私たちもお手伝いします。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
まとめ|マンション漏水後のカビは「張り替え」と「下地の検査」をセットで考える
この記事の要点をチェックリストで振り返る
マンションの漏水は、原因を直せば水は止まります。しかし、一度濡れた壁紙の裏の石膏ボードや、二重天井・二重床の中には、水が止まった後も水分が残っていることがあります。その上から壁紙を張り替えてしまうと、湿った下地にふたをすることになり、後からカビが出てくることがあります。最後に、この記事の要点をチェックリストで振り返ります。
✔ 「漏水が止まった」と「部屋が元に戻った」は別のものとして考える
✔ 石膏ボードとビニールクロスの組み合わせは、中の湿気が抜けにくい
✔ におい・壁紙の浮き・巾木まわり・床のきしみを写真とメモで記録する
✔ 張り替えの前に、含水率で下地の乾燥を確認する
✔ 報告書は、管理会社・上階の住人・保険会社との話し合いの材料になり得る
漏水の被害は、目に見える部分をきれいにすれば終わり、ではありません。見えない下地の状態まで確認し、必要な対応を順番に進めることで、張り替えた後に同じ悩みを繰り返さずに済みます。
マンションの漏水の後で大切なのは、「きれいに張り替えること」と「下地の状態を確かめること」を、セットで考えることです。含水率検査で濡れた範囲と乾燥の経過を、真菌検査で室内の空気の状態を、ファイバースコープで壁や天井、床の中の様子を確認すれば、どこまで対策が必要なのかを、根拠を持って判断できるようになります。
MIST工法®カビバスターズ仙台では、仙台市をはじめ宮城・山形・福島で、マンションの漏水後の調査を行っています。「張り替えの前に一度状態を確認したい」「部屋のにおいの原因を知りたい」「話し合いのために現状を記録しておきたい」――そんな段階でも、どうぞお気軽にご相談ください。調査の結果は報告書にまとめ、今後の判断材料としてお渡しします。保険の適用や費用負担については、ご加入の保険会社や管理会社にご確認ください。
浸水・漏水の後に「表面は乾いても中は乾いていない」ことがあるという考え方は、戸建て住宅の浸水でも共通しています。「床上・床下浸水の後に見落とされるカビ」もあわせてご覧ください。また、賃貸物件のオーナー様・管理会社様向けに、退去後のカビ臭と空室対策についても今後の記事で取り上げる予定です。
ご相談の際には、漏水が起きた日、原因(分かっている範囲で)、濡れた場所、その後の修理や乾燥の内容、張り替えなどの工事の予定を教えていただけると、状況の把握がスムーズになります。漏水直後の写真があれば、あわせてご用意ください。現地では、測定した数値や映像をその場でお見せしながら、今どのような状態なのかをできるだけわかりやすくご説明します。
仙台市内のマンションは、築年数の経ったものから新しいものまでさまざまです。築年数が経ったマンションでは、給排水管の経年劣化による漏水が起きることもあり、一度漏水があった住戸では、別の場所で再び起きる可能性も考えられます。一度調査を行い、記録を残しておけば、次に何かあったときに「前回と比べてどうか」を確認する基準にもなります。住まいの状態を記録で管理しておくことは、将来の安心にもつながります。現場リーダーとして、一件一件の状況に丁寧に向き合い、分かりやすくお伝えすることを大切にしています。
漏水トラブルは、建物の問題であると同時に、ご近所や管理会社との関係にも関わる問題です。見た目だけで判断せず、記録と数値にもとづいて落ち着いて進めることが、結果的にご自身の安心と、関係する人との良い関係を守ることにつながります。
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