ワイナリーの蔵のカビ対策
2026/10/13
南陽・高畠のワイナリーで、蔵のカビが気になったら
醸造所と貯蔵庫にカビが出る理由、見るべき場所、削らない進め方を順番に解説します
こんにちは😊 東北地方のカビトラブルを解決する MIST工法®カビバスターズ仙台です!施工・現場リーダーの稲垣です。
「貯蔵庫の壁に白い粉のようなものが出てきた」「樽の鏡板に黒い点が並んでいる」「瓶詰めして保管していたワインのラベルが、波打って茶色くなっている」。山形県南陽市や高畠町のワイナリーさんから、こうしたご相談をいただくことがあります。ぶどうの収穫が近づくこの時期は、蔵を整える最後のタイミングでもあります。
ワインをつくる場所は、もともとカビと近い環境です。醸造は温度を低めに保ち、仕込みや洗瓶では水を大量に使い、地下や半地下の貯蔵庫では空気があまり動きません。そこへ秋の外気が入ると、冷えた壁や床の表面で結露が起こります。カビが育つための「湿り」「温度」「栄養」のうち、湿りと栄養がそろいやすい場所だといえます。
とはいえ、蔵のカビをすべて敵だと考える必要はありません。問題になるのは、増えすぎて製品や建物に影響が出るときです。ラベルが傷む、木部が黒ずむ、作業される方が長時間過ごす部屋の空気がよどむ。こうしたサインが出たら、放置せずに状態を確かめたいところです。
この記事では、南陽・高畠のワイナリーや醸造所を想定して、①カビが出やすい理由、②蔵のどこを見ればよいか、③収穫期前の準備、④やってしまいがちな対処と向いている進め方、⑤MIST工法®での除去、⑥検査で状態を数字にする方法、までを順番にまとめます。現場でそのまま使える内容にしていますので、点検のチェックリスト代わりにお使いください。
醸造所と貯蔵庫にカビが出やすい理由
低温・水仕事・弱い通気という3つの条件が重なりやすい環境です
まず、なぜワインの蔵はカビが出やすいのかを整理します。理由は大きく3つあります。
1つ目は「年間を通じた低温」です。ワインの貯蔵は一定の低い温度を保つことが多く、蔵の中の壁や床は外気より冷たくなります。秋に湿った外気が入ると、冷たい面に触れた瞬間に水滴ができます。窓ガラスに結露ができるのと同じ現象が、壁や樽の表面でも起きているわけです。
2つ目は「水を使う作業が多いこと」です。タンクや樽の洗浄、床の洗い流し、瓶の洗浄と、醸造所では水が欠かせません。作業のあとに床や排水溝が濡れたままだと、そこから水分が空気に移っていきます。夏なら換気で飛びますが、外が冷えてくる時期は乾きが遅くなります。
3つ目は「通気が弱いこと」です。温度を安定させるために、地下や半地下、厚い壁の建物が選ばれます。その構造は温度には有利ですが、空気の入れ替えには不利です。空気が動かない場所では、湿気が一か所にたまり、同じ壁面にばかりカビが出ます。
さらに、山形県の内陸は昼夜の寒暖差が大きい地域です。南陽市や高畠町は果樹栽培に向いた気候として知られていますが、その寒暖差は建物の中にも温度差をつくります。日中に暖まった空気が夜の冷えた壁に触れると、また結露が起こります。「気候が良いからこそ蔵の湿気管理が要る」と考えていただくとイメージしやすいと思います。
なお、ぶどうの果皮にはもともと酵母や糸状菌が付いています。搬入の時期に建物内の菌の量が増えるのは自然なことです。問題は、その状態が仕込みが終わったあとも続いてしまうことです。収穫期の前後で蔵の状態を見比べると、変化がつかみやすくなります。
蔵のどこを見ればいい?|樽・壁・棚・排水
見る場所と、起きやすいこと、確かめ方を表にまとめました
点検は「上から下へ、奥から手前へ」の順で進めると見落としが減ります。懐中電灯を一本持って、壁際を照らしながら歩くだけでも、変色やクモの巣のような菌糸に気づけます。
最初に見ていただきたいのは、樽の鏡板(正面の丸い板)と側面です。白い粉がふいたように見える場合、酒石が析出しているだけのこともありますが、綿のように盛り上がっていればカビの可能性があります。指でこすらず、まずは写真に残してください。こすると胞子が舞い、ほかの場所に広がります。
次に地下セラーの壁です。とくに外周側の壁は外気の影響を受けるため、下から30〜60センチのあたりに黒い点が並びやすくなります。漆喰やモルタルの上に出たカビは、表面だけ拭いても内部に残ることがあります。
瓶詰め後の保管棚も重要です。ラベルの端が浮いている、角が茶色く変わっている、紙箱の底が波打っている。これらは湿気が高い状態が続いたサインです。段ボールは湿気を吸って、そのままカビの栄養になります。
最後に床の排水溝です。ぬめりや酸っぱいにおいがある場合、そこが菌の供給源になっていることがあります。グレーチングを外して、内側の側面まで確認してください。
下の表に、確認する場所・起きやすいこと・確かめ方をまとめました。点検の記録用紙としてもお使いいただけます。
確認する場所 | 起きやすいこと | 確かめ方 |
|---|---|---|
樽の鏡板・側面 | 白い粉や綿状のものが付く | こすらず写真に残し、酒石かカビかを見分ける |
地下セラーの外周壁 | 下部に黒い点が並ぶ | 壁の下から60センチを懐中電灯で照らす |
瓶詰め後の保管棚 | ラベルが浮き、角が茶色くなる | 棚の奥と最下段の紙箱の底を確認する |
床の排水溝 | ぬめりと酸っぱいにおい | グレーチングを外して内側の側面を見る |
仕込み室の天井 | 配管の結露でシミが出る | 配管の下の天井材を見上げて変色を探す |
収穫と仕込みの前にやっておきたい準備
温湿度の記録、送風、床からの離し、写真記録の4つが基本です
収穫期に入ると、人の出入りも水を使う作業も一気に増えます。だからこそ、その前に蔵を整えておくと後が楽になります。やることは4つです。
1つ目は温湿度の記録です。データロガーや温湿度計を、貯蔵庫・仕込み室・瓶詰め室にそれぞれ置き、一日の変化を見ます。大事なのは平均値ではなく「いちばん湿度が高い時間帯」です。朝方に跳ね上がっているなら、夜間の冷えによる結露が疑われます。
2つ目は空気を動かすことです。強い風は不要です。サーキュレーターを壁に向けず、部屋の対角に弱く回すだけで、よどみが減ります。樽に直接風を当て続けると乾燥しすぎるため、距離と向きに注意してください。
3つ目は床から離すことです。ラベル、コルク、キャップシール、紙箱といった資材は、必ずすのこやパレットの上に置きます。壁からも数センチ離すと、裏側に風が通ります。
4つ目は写真の記録です。壁の同じ場所、樽の同じ面を、毎年同じアングルで撮っておくと、変化が一目で分かります。スマートフォンで十分です。撮影日が残るので、後から比較する資料になります。
なお、湿度を下げれば下げるほど良いわけではありません。乾燥しすぎると樽の木が収縮し、漏れや香りの変化につながることがあります。数値を見ながら、極端に振れない範囲を保つことが目標です。
やってしまいがちな対処と、蔵に向いた進め方
削る・こする・広く噴霧する、の前に確かめたいことがあります
カビを見つけたとき、多くの現場でまず行われるのが「こすり落とす」ことです。ところが木部や漆喰では、これが逆効果になることがあります。表面を削ると繊維が毛羽立ち、かえって胞子が入り込みやすい面になってしまうためです。樽であれば、削った分だけ資産価値も落ちます。
次に多いのが「強い薬剤を広く噴霧する」対処です。醸造所は発酵という微生物の働きを利用する場所ですので、蔵全体に残留するような薬剤の使い方は避けたいところです。カビバスターズでは、広範囲の薬剤処理は床下・基礎まわり・屋外といった限られた範囲に絞っています。
3つ目は「見えるところだけ拭いて終わりにする」ことです。壁に出たカビは、表面の菌糸より内部に伸びた部分のほうが多い場合があります。拭いた直後はきれいに見えても、数週間で同じ場所に戻ってくるのはこのためです。
では、どう進めるのが蔵に向いているのか。順番は「原因を確かめる → 状態を数値で押さえる → 素材を傷めずに除去する → 再発しにくい環境に整える」です。この順番を飛ばして除去から入ると、何度もやり直すことになります。
原因の確認では、結露が起きている時間帯、水を使う工程、換気の経路を整理します。状態の確認では、壁や木材の含水率を測り、必要に応じてファイバースコープで壁の内側や天井裏を見ます。見えない場所に水の通り道があれば、そこを直さない限り同じことが起こります。
MIST工法®なら、樽や木部を削らずに
素材に合わせて薬剤を調整し、こすらずに菌を分解して除去します
MIST工法®は、カビを削り取るのではなく、素材に合わせて調整した専用剤を素材の中まで作用させ、菌を分解して除去する方法です。木材・漆喰・モルタル・石など、蔵に多い素材をそのまま残せるのが大きな利点です。
現場では、まず素材と傷み具合を確認し、それに合わせて剤の濃度を調整します。同じ木材でも、古い梁と新しい造作では吸い込み方が違います。「一律の強さで全体に使う」のではなく、場所ごとに合わせていくのが基本です。
除去のあとは、再付着を抑えるための処理を行います。これも被膜で覆い隠すのではなく、菌が定着しにくい状態をつくるという考え方です。壁の仕上げや樽の質感を変えたくない場所ほど、この方法が向いています。
作業の進め方も、醸造のスケジュールに合わせて組み立てます。仕込みの時期は貯蔵庫だけ、落ち着いた時期に瓶詰め室と保管庫、というように範囲を分ければ、稼働を止めずに進められることが多いです。区画をビニールで仕切り、作業する部屋の空気が他へ流れないようにしたうえで進めます。
なお、カビバスターズ仙台は一般社団法人微生物対策協会と連携しています。除去して終わりではなく、その前後で空気の状態を確かめられるのが、私たちの進め方の特徴です。
検査で「見えない菌」を数字にする
落下菌検査と浮遊菌検査で、作業前後の変化を確かめます
蔵の状態を「きれいになった気がする」で終わらせないために、検査を使う方法があります。私たちが行うのは、落下菌検査と浮遊菌検査です。
落下菌検査は、培地を一定時間置いて、空気中から落ちてくる菌を捉える方法です。貯蔵庫・仕込み室・瓶詰め室など、部屋ごとに置けば、どこが多いのかが見えてきます。浮遊菌検査は、一定量の空気を吸い込んで、そこに含まれる菌を調べる方法です。作業中と作業をしていない時間で比べると、人や物の動きがどれだけ影響しているかが分かります。
こうした検査の良いところは、対策の前後を同じ条件で比べられることです。数字が下がっていれば、行った対策が効いていると判断できます。逆に下がらなければ、原因がまだ残っていると分かります。感覚に頼らず、次に何をすべきかを決められるわけです。
また、記録が残ることは取引先への説明にも役立ちます。見学を受け入れているワイナリーであれば、来場される方に安心して過ごしていただくための根拠にもなります。数値は一度きりではなく、季節ごとに取ると傾向が見えてきます。
検査の内容や範囲は建物によって変わりますので、まずは現地を見せていただき、どこを測るのが有効かをご相談しながら決めていきます。
まとめ|南陽・高畠のワイナリーのカビのご相談
蔵の風景を守りながら、増えすぎたカビだけを減らしていきましょう
最後に要点を3つにまとめます。
1つ目、ワインの蔵は低温・水仕事・弱い通気という条件が重なり、もともとカビが出やすい場所です。ゼロにすることを目標にせず、増えすぎないように管理することを目標にしてください。2つ目、点検は樽の鏡板、地下セラーの外周壁、保管棚のラベルと紙箱、床の排水溝の4か所から始めると効率的です。写真を毎年同じアングルで残すと変化が分かります。3つ目、対処は「こすらない・削らない・広く噴霧しない」。原因を確かめ、含水率や菌の数といった数値で状態を押さえてから、素材を傷めない方法で除去する順番が結果的に早道です。
南陽市や高畠町のワイナリーは、地域の景観と一緒に育ってきた建物が多く、古い蔵をそのまま使っている例も少なくありません。だからこそ、削ったり張り替えたりせずに済む方法を選ぶ意味があります。MIST工法®は、そうした建物の表情を残したまま進められる方法です。
MIST工法®カビバスターズ仙台は、宮城県を拠点に、山形県・福島県をはじめ東北各県、北海道まで対応しています。貯蔵庫の壁、樽まわり、瓶詰め室、保管庫のいずれでも、まずは状態を見せていただくところから始まります。お問い合わせフォームより、建物の種類・気になる場所・いつ頃から気づいたかをお知らせいただけるとスムーズです。
大切に仕込んだお酒を守るために、蔵の空気にも目を向けてみてください。最後までお読みいただき、ありがとうございました😊
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