酒蔵・味噌蔵のカビとどう付き合う?🍶|二本松の醸造蔵で環境を数値で管理する考え方
2026/10/11
福島・二本松で酒蔵・味噌蔵を営まれている方へ
必要な菌と、困るカビ。分けて考えるための環境管理
こんにちは😊 東北地方のカビトラブルを解決する MIST工法®カビバスターズ仙台です!施工・現場リーダーの稲垣です。
「仕込み蔵の梁にカビが見える」「道具置き場の木製道具が乾かず、黒ずんできた」「北側の壁の足元が、冬になると湿っている」。二本松市をはじめ、福島県内で酒や味噌をつくられている蔵元の方から、こうしたご相談をいただくことがあります。
醸造の現場では、麹菌をはじめとする微生物が主役です。つくり手の方々は、その働きを何より大切にされています。ですから「カビ」と聞いたときに、必要な菌まで失うのではないかと心配される声を多くいただきます。
私たちがご相談をお受けするのは、建物側で困っているカビについてです。梁や天井に出た黒い斑点、壁の足元の湿り、道具置き場のにおい。これらは製品づくりに必要な微生物とは別の問題であり、建物の傷みや作業環境に関わります。工程と範囲を確認しながら、必要な場所だけを対象にして進めます。
この記事では、醸造蔵で湿気がたまる理由、見ておきたい場所、作業後の基本手順、季節ごとの注意点、そして調査と対策の流れをお伝えします。
仕込みの本格化を前にしたこの時期は、蔵の状態を確かめておくのに適したタイミングです。
第1章|醸造蔵で湿気がたまる3つの理由
仕込みの水と湯気・蔵の中の温度差・古い建物の構造
蔵の湿気は、仕事そのものから生まれます。だからこそ、なくすのではなく、抜け道をつくる発想が必要です。
【① 仕込みの水と湯気】
洗米、浸漬、蒸し、仕込み。いずれの工程でも水を使い、蒸気が立ちます。作業中は蔵の中の湿度が一気に上がり、その水蒸気は上へ、そして冷たい面へと向かいます。梁や天井、北側の壁は、その行き先になりやすい場所です。
【② 蔵の中の温度差】
蔵は場所によって温度が違います。仕込み蔵、麹室、貯蔵庫、道具置き場。それぞれ用途に応じた温度帯があり、隣接する空間のあいだで空気が動けば、冷たい側で結露します。扉の開け閉めのたびに、温度の違う空気が混ざることも影響します。
【③ 古い建物の構造】
歴史のある蔵は、土壁、木の柱と梁、土間など、湿気を吸う素材でできています。これらは調湿してくれる一方、いちど湿ると乾くのに時間がかかります。屋根や樋の傷み、基礎まわりの水はけの悪さが重なると、特定の場所だけが常に湿った状態になります。
大切なのは、「湿気が生まれる場所」と「たまる場所」を分けて考えることです。生まれる場所は工程で決まりますが、たまる場所は建物の条件で決まります。後者は、対策で変えられます。
第2章|蔵の中で見ておきたい場所
梁と天井・北側の壁の足元・道具置き場・排水まわり
点検では、場所ごとに見るポイントを決めておくと短時間で回れます。
梁と天井は、湯気が最後にたどり着く場所です。黒い斑点の広がり、木部の変色、ほこりの固着を確認します。高所の確認は、無理をせず複数人で行ってください。
北側の壁の足元は、冬の結露水が回りやすい場所です。土壁の変色、白い粉、巾木まわりの湿りを見ます。外周の水はけも一緒に確認しておくと、原因を絞り込めます。
道具置き場は、木製の桶や櫂、麻布など、水を含んだ道具が集まります。使用後に乾かしきれないまま重ねて保管すると、木地にカビが出ます。風の通る棚を用意するだけでも、状態が変わります。
排水まわりと土間は、水分と有機物が残る場所です。においの発生源になりやすく、清掃の行き届き方がそのまま表れます。
下の表に、場所ごとの起きやすいことと確認の方法をまとめました。蔵の日常点検に組み込みやすい形にしています。
記録は、同じ位置からの写真と、温湿度の数値をセットで残すのがおすすめです。
第3章|作業後の基本手順
水気を切る・空気を動かす・数値を残す・手順を共有する
蔵の湿気対策は、作業が終わった後の短い時間にかかっています。
【① 水気を切る】
床、土間、桶まわりに残った水を、できるだけ切ります。土間は乾きにくいため、水をためない工夫が大切です。道具は洗った後、水を切ってから所定の場所へ。
【② 空気を動かす】
送風機やサーキュレーターで、湯気のたまった空気を外へ逃がします。開口部が限られる蔵では、風の通り道を意識して機材を配置します。外気の湿度が高い日は、闇雲に開けるより、室内で空気を循環させるほうが効果的なこともあります。
【③ 温湿度を場所ごとに記録する】
仕込み蔵、麹室の外側、道具置き場、貯蔵庫など、条件の違う場所に温湿度計を置き、数値を残します。工程との関係が見えてくると、どこで湿気が滞留するかが分かります。
【④ 手順を共有する】
蔵人の皆さんのあいだで、清掃と乾燥の手順を統一しておくと、季節労働の方が入る時期でも管理が安定します。紙に書いて掲示するだけでも効果があります。
【⑤ 木製道具は風の通る場所へ】
重ねず、立てかけ、風が当たる場所で保管します。乾く時間を確保することが、木部を守るいちばんの方法です。
第4章|季節ごとの注意点
冬の仕込み期・夏の休み・梅雨の道具・秋の点検
蔵の一年は、季節と工程が結びついています。
【冬|仕込み期】
外気温が下がり、蔵の中との差が大きくなります。蒸しの湯気が一気に立ちのぼる時期でもあり、梁や天井に湿気が集まります。作業後の送風と、扉の開け閉めの順番を決めておくと、湿った空気の滞留を減らせます。
【春】
仕込みが終わり、蔵を片付ける時期です。道具を洗って乾かし、保管する前に状態を確かめます。この時点で木部の傷みを記録しておくと、次の仕込みまでに手を打てます。
【夏】
蔵を休ませる期間です。閉め切ったままにせず、外気が乾いた日に風を通します。気温が高い時期は、湿度の管理がとくに重要になります。
【梅雨】
道具と木部が乾きにくい時期です。保管場所の湿度を確かめ、必要に応じて除湿します。床や土間に水が残らないよう、清掃の後の乾燥時間を確保します。
【秋】
仕込みに向けた点検と清掃の季節です。屋根・樋・基礎まわりの水はけ、壁の傷み、換気の経路を確認します。外気が乾いているため、蔵全体を乾かすのにも適しています。
季節ごとの作業に「湿気を見る項目」を一つ加えるだけで、年間の管理が安定します。
第5章|調査と対策の流れ
工程の確認・含水率・空気の検査・素材を傷めない除去
蔵のご相談では、製品づくりへの影響を心配される声を必ずいただきます。私たちは、工程と範囲を確認したうえで進めます。
【① 工程と場所を伺う】
どの部屋で何を行っているのか、どの時期に使うのか、立ち入りの制限はあるのかを確認します。製品づくりに直接関わる区画と、建物として管理したい区画を分けて整理します。
【② 含水率を測る】
梁や柱、壁、土間の含水率を測定器で測ります。数値で見ることで、乾きにくい場所が具体的に分かります。
【③ 内部の状態を確認する】
必要に応じて、小屋裏や壁の内側をファイバースコープで確認します。屋根からの雨染みや、木部の傷みの範囲を把握します。
【④ 空気の状態を確かめる】
一般社団法人微生物対策協会と連携した落下菌検査などで、対象とする区画の空気の状態を確かめます。作業環境としての衛生管理にも役立ちます。
【⑤ 素材を傷めずに除去する】
MIST工法®は、素材を「削らない・擦らない」ことを基本としたカビ除去の方法です。古い梁や柱、木製の道具を削らずに処理できます。対象範囲は、蔵元の方と相談しながら決めていきます。
【⑥ 記録を残す】
施工の前後を写真と数値で残します。蔵の維持管理の記録として、また次の世代への引き継ぎ資料としてもお使いいただけます。
第6章|よくある質問|醸造蔵のカビについて
蔵付きの菌・作業時期・木製道具・記録
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