高気密・高断熱住宅でもカビが発生する理由
2026/09/13
高気密・高断熱住宅でもカビが発生する理由
山形の寒暖差対策として普及が進む高気密住宅に潜む、換気不足という見落とされがちな落とし穴
私たちは庄内・村山・最上・置賜の4地域で住宅や施設のカビ調査・除去を行っておりますが、近年、地域を問わず増えているご相談のひとつが「新築なのにカビが発生した」というものです。「築2年、3年の新しい家なのに、なぜかクローゼットにカビが生えた」「高気密・高断熱をうたう住宅を選んだのに、窓に結露が出る」といったお声を、庄内・村山・最上・置賜のどの地域からもいただくようになりました。山形県は寒暖差の大きい気候から、冬の寒さ対策として高気密・高断熱住宅への注目が年々高まっています。しかし、高気密・高断熱化が進む一方で、換気計画が十分に伴っていない場合、かえって室内に湿気がこもりやすくなり、カビが発生してしまうケースが見受けられます。本記事では、なぜ高気密・高断熱住宅でもカビが発生してしまうのか、そのメカニズムを解説し、新築だからこそ見落とされがちな換気の落とし穴について、山形県全域に共通する視点からお伝えします。
目次
1. 「新築なのにカビが」というご相談が増えている理由
築浅の住宅からのご相談が、山形県内で年々増加している傾向にあります
私たちのもとには、庄内・村山・最上・置賜のいずれの地域からも、「築年数の浅い新築住宅でカビが発生した」というご相談が年々増加している実感があります。従来、カビの相談というと築年数が経過した住宅からのものが中心というイメージを持たれる方も多いかもしれませんが、実際には新築から数年以内の住宅からのご相談も決して珍しくなくなってきています。
具体的には、「入居して初めての冬、寝室のクローゼットの奥にカビが生えていた」「浴室の換気はしっかりしているはずなのに、洗面所の壁にカビが出た」といった内容です。多くのお客様が「新しい家だから大丈夫だと思っていた」という前提を持たれているだけに、実際にカビを発見された際のショックも大きいようです。
この背景には、山形県内で高気密・高断熱住宅の普及が進んでいることが関係していると私たちは考えています。高い断熱性能は冬の寒さから住まいを守り、光熱費の削減にもつながる優れた性能ですが、その性能を十分に発揮するためには、適切な換気計画とセットで考える必要があります。この「セットで考える」という部分が見落とされてしまうと、かえってカビが発生しやすい環境を作り出してしまう可能性があるのです。
次章では、なぜ山形県内で高気密・高断熱住宅の普及が進んでいるのか、その背景から見ていきましょう。
私たちが対応してきた新築住宅からのご相談を振り返ると、入居後1年目の冬を経験した後、2年目の冬を迎える前後のタイミングでご相談いただくケースが特に多いという傾向があります。1年目は「新築だから」という安心感もあり、多少の違和感があっても様子を見られる方が多いのですが、2年目も同様の症状が繰り返されることで、「これは一時的なものではない」と気づかれ、ご相談につながるという流れが見受けられます。
また、注文住宅だけでなく、建売住宅や分譲住宅においても同様のご相談が増えています。これらの住宅は仕様が標準化されている分、換気システムの設計自体は適切であることが多いのですが、入居後の使い方、特に給気口の管理や24時間換気の稼働状況によって、結果が大きく変わってくることを私たちは現場で実感しています。設計や施工の問題だけでなく、入居後の「使いこなし」の部分に課題があるケースも少なくないのです。
私たちが特に印象深く感じているのは、共働きで日中不在の時間が長いご家庭からのご相談です。日中誰もいない間、換気システムは稼働しているものの、窓を開ける機会がほとんどないまま長時間が経過し、帰宅後に初めて室内のにおいの変化に気づくというパターンです。高気密住宅では窓を開けなくても計画換気によって空気が入れ替わる設計にはなっていますが、それでも生活のリズムの中で意識的に空気の状態を確認する習慣を持つことは、決して無駄にはならないと私たちは考えています。
ペットを飼われているご家庭からのご相談も、近年目立つようになってきました。ペットの毛や皮脂、排泄物のにおいなどは、高気密住宅では特にこもりやすく、これらが住宅内の湿度環境や菌の繁殖にも間接的に影響を与える可能性があります。ペットとの暮らしを快適に保つためにも、換気システムが適切に機能しているかどうかは、より重要な確認事項になると言えるでしょう。
山形県内の各地域で高気密住宅が増える中、私たちは庄内・村山・最上・置賜それぞれの気候条件と、高気密住宅という共通の建築トレンドが組み合わさることで生じる、新しいタイプの住宅トラブルにも注目しています。例えば、最上地方の高気密住宅では、豪雪による外部からの湿気供給と、内部の換気不足が重なることで、従来の在来工法の住宅とは異なるパターンの湿気トラブルが生じる可能性も考えられます。地域の気候特性と住宅性能の組み合わせという視点は、今後さらに重要になっていくと私たちは考えています。
私たちがこの記事を通じてお伝えしたいのは、高気密・高断熱住宅そのものへの不安を煽ることでは決してありません。むしろ、性能の高い住宅を選ばれた皆様が、その性能を十分に活かしながら、安心して長く住み続けられるよう、換気という見落とされがちな要素にも目を向けていただきたいという思いからお伝えしています。
2. 高気密・高断熱住宅とは|山形で普及が進む背景
寒暖差の大きい山形の気候が、高気密・高断熱化を後押ししています
高気密・高断熱住宅とは、建物の隙間を減らして気密性を高め、断熱材や窓の性能を向上させることで、外気の影響を受けにくくした住宅を指します。冬は暖房で温めた室内の熱が逃げにくく、夏は外部の熱が入りにくいという特徴があり、一年を通じて快適な室内環境と省エネルギー性能を両立できる住宅として、近年全国的に注目されています。
山形県は、村山地方の盆地特有の寒暖差、最上・置賜の豪雪、庄内の厳しい季節風など、地域ごとに異なる気候条件を持ちながらも、共通して「冬の寒さが厳しい」という特徴を持っています。この冬の寒さへの対策として、高気密・高断熱住宅への関心は県内全域で高まっており、新築住宅の多くがこうした性能を意識した仕様で建てられるようになってきています。
高気密・高断熱住宅の普及は、住まいの快適性向上という点で大きなメリットをもたらしています。暖房効率が高まることで、部屋間の温度差が少なくなり、ヒートショックのリスク低減にもつながるとされています。省エネルギー性能の向上は、光熱費の削減という家計面でのメリットも期待できます。
一方で、こうした高性能な住宅は、従来の住宅とは異なる特性を持つがゆえに、これまでとは違った視点での維持管理が必要になります。次章では、その代表的な課題である「換気不足」について詳しく見ていきましょう。
住宅性能を示す指標として「UA値」(外皮平均熱貫流率)や「C値」(相当隙間面積)といった数値が用いられることがあります。山形県内の工務店やハウスメーカーの多くは、こうした指標を意識した高性能な住宅づくりを進めており、県が推進する省エネルギー基準への対応も、この流れを後押ししていると考えられます。断熱性能・気密性能の向上は、快適な住環境の実現に大きく貢献する一方、その性能の高さゆえに、換気計画の重要性がこれまで以上に増しているという側面があることを、住まい手の皆様にも知っておいていただきたいと思います。
山形県内の住宅展示場やモデルハウスでも、「高気密・高断熱」「省エネ」「ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」といったキーワードが多く使われるようになりました。これらは住宅の魅力を伝える重要な要素である一方、実際に住まいとして機能させるためには、性能値だけでなく、その性能を維持するための日々の使い方や定期メンテナンスについても、入居前にしっかりと理解しておくことが大切です。
ZEH住宅をはじめとする省エネ住宅では、太陽光発電やエネルギー管理システムと組み合わせて建てられることも多く、こうした住宅では換気システムも高度に制御されている場合があります。しかし、どれだけ高性能なシステムであっても、フィルターの目詰まりや給気口の閉塞といった基本的なメンテナンス不足があれば、本来の性能を発揮することはできません。高機能であることと、メンテナンスフリーであることは、必ずしもイコールではないという点を理解しておくことが重要です。
住宅の性能を選ぶ際、多くの方は断熱等級や気密性能といった「入居前」の指標に注目されますが、私たちが強調したいのは「入居後」の維持管理という視点です。どれだけ優れた性能を持つ住宅であっても、適切な使い方とメンテナンスが伴わなければ、その性能を長期的に維持することは難しくなります。住宅選びの段階から、こうした入居後の視点も含めて検討していただくことが、後々のトラブルを防ぐことにつながると私たちは考えています。
これから新築を検討される方には、施工業者との打ち合わせの際に、断熱・気密性能だけでなく、換気システムの種類やメンテナンス方法についても具体的に質問していただくことをおすすめします。「このシステムは何年に一度、どのようなメンテナンスが必要ですか」「フィルターはどこで購入でき、自分で交換できますか」といった具体的な質問をしておくことで、入居後のメンテナンスに対する心構えを事前に持つことができます。
3. なぜ高気密住宅で換気不足が起こるのか
計画換気システムが、正しく機能していないケースが見受けられます
現在の建築基準法では、住宅の気密性が高まったことを背景に、24時間稼働する計画換気システムの設置が義務付けられています。このシステムは、機械の力で計画的に室内の空気を入れ替えることで、気密性の高い住宅でも室内の空気環境を適切に保つことを目的としています。理論上は、このシステムが正しく機能していれば、気密性の高さが換気不足に直結することはないはずです。
しかし、実際の現場では、いくつかの理由でこの換気システムが十分に機能していないケースが見受けられます。まず、給気口や排気口にホコリやフィルターの目詰まりが生じ、本来の換気性能が発揮できていないケースです。定期的なフィルター清掃が必要であるにもかかわらず、これが行われていないご家庭は少なくありません。
また、花粉やほこりの侵入を気にして、給気口を意図的に塞いでしまっているケースもあります。善意からの対応ではあるものの、これによって計画換気のバランスが崩れ、想定していた空気の流れが作られなくなってしまいます。
さらに、24時間換気システム自体を「電気代がもったいない」「音が気になる」といった理由で、意図的に停止させてしまっているケースも見受けられます。高気密住宅において計画換気を止めてしまうことは、室内の空気が入れ替わらないまま滞留し続けることを意味し、これが湿気やカビのリスクを高める大きな要因になり得ます。
換気システムの種類によっても、注意すべきポイントは異なります。給気・排気ともに機械で行う第一種換気システムは、比較的安定した換気性能が期待できる一方、初期設定や定期メンテナンスの精度が性能を左右します。給気を自然に任せ排気のみを機械で行う第三種換気システムでは、給気口の状態が室内環境に直結しやすいため、給気口の清掃や開閉状態のチェックがより重要になります。ご自宅がどのタイプの換気システムを採用しているかを把握しておくことも、適切な維持管理につながります。
換気システムが正しく機能していても、住宅の間取りによっては空気の流れにムラが生じることがあります。特に、増築部分や離れのように、メインの居住空間から少し離れた場所にある部屋では、換気システムの効果が届きにくい場合があります。また、扉を閉め切ったままの部屋が多いご家庭では、部屋間の空気の流れが遮断され、特定の部屋だけ換気が不十分になっているケースも見受けられます。全体としては適切に設計された換気システムであっても、生活の中での扉の開閉状況によって、実際の効果が左右されるという点も知っておいていただきたいポイントです。
新築時の気密測定(C値測定)を実施したかどうかも、確認しておきたいポイントのひとつです。気密測定は、実際に完成した住宅がどの程度の気密性能を持っているかを数値で確認する検査で、設計上の性能と実際の施工結果に差がないかを検証する重要な工程です。この測定を実施していない住宅では、想定していた気密性能が実際には確保されていない可能性もゼロではなく、換気計画との整合性という観点からも、気密測定の実施有無は確認しておく価値のある情報です。
4. 気密性の高さが、湿気を"閉じ込めて"しまう仕組み
従来の住宅であれば自然に抜けていた湿気が、気密性の高さゆえに滞留しやすくなります
従来の気密性が低い住宅では、建具や壁のわずかな隙間から自然に空気が出入りし、室内の湿気がある程度自然に排出される側面がありました。これは「すきま風」として冬場に寒さの原因となる一方で、結果的に室内の湿気がこもりにくいという副次的な効果も持っていました。
高気密住宅では、こうした自然な空気の出入りがほとんどなくなります。これは断熱性能を高めるうえで必要な特性である一方、室内で発生した湿気の"逃げ道"が、計画換気システムに大きく依存する形になることを意味します。つまり、計画換気が正しく機能していない場合、発生した湿気は行き場を失い、室内に滞留し続けてしまうのです。
特に、料理や入浴、洗濯物の室内干し、人の呼吸や発汗など、日常生活の中では常に一定量の湿気が発生しています。気密性の低い住宅であれば、これらの湿気の一部は自然に外部へ抜けていましたが、高気密住宅ではこの経路が絶たれているため、計画換気による排出が滞ると、湿気は着実に蓄積していくことになります。
このように、高気密住宅における換気不足は、従来の住宅における換気不足よりも深刻な影響をもたらす可能性があります。断熱性能の高さゆえに、住宅内部の温度差も少なくなるため、結露が発生しにくいと思われがちですが、換気が不十分な状態が続けば、局所的な湿気の蓄積からカビが発生するリスクは十分に存在します。
高気密住宅特有の現象として、「内部結露」と呼ばれるものも指摘されています。これは、室内の湿った空気が壁の内部にわずかに浸入し、断熱材の外側など温度の低い部分で結露を起こす現象です。気密性能や防湿層の施工精度が高ければこうした現象は起こりにくいとされていますが、施工上のわずかな不備があると、目に見えない壁の内部で結露が進行してしまう可能性があります。これは、以前村山地方の記事でお伝えした壁内結露と共通する部分もありますが、高気密住宅特有の要因も加わるため、より専門的な視点での確認が必要になる場合があります。
防湿層とは、壁の中に室内側の湿った空気が侵入するのを防ぐために設置されるシート状の建材です。この防湿層の施工にわずかな隙間や破れがあると、室内の湿気がそこから壁内部に侵入し、断熱材の外側で結露を起こすことがあります。防湿層の施工精度は、目視での確認が難しい部分であり、施工時の管理体制によって品質に差が生じる可能性がある要素のひとつです。私たちが調査を行う際には、こうした施工上の要因も念頭に置きながら、含水率の分布パターンから原因を推測することを心がけています。
内部結露が起きやすい典型的な箇所として、断熱材と防湿層の継ぎ目部分、コンセントボックスや配管などが壁を貫通する部分が挙げられます。これらの箇所は施工上、完全に均一な防湿処理を施すことが技術的に難しい場合があり、経験豊富な施工業者であっても細心の注意を払う必要がある部分です。新築時の施工品質が高い住宅であっても、こうした構造的に弱くなりやすい箇所が存在すること自体は、高気密住宅である以上避けられない側面とも言えます。
家族構成の変化も、換気計画に影響を与える要因のひとつです。当初は夫婦二人で計画された換気システムが、子どもの誕生や同居家族の増加によって、実際の生活人数や活動量が想定と異なってくることがあります。人数が増えれば、それだけ室内で発生する湿気や二酸化炭素の量も増加するため、当初の換気計画のままで十分かどうかを、生活の変化にあわせて見直す視点も大切です。
在宅ワークの普及も、換気計画に影響を与える新しい要因のひとつです。以前は日中不在が前提だった住宅でも、在宅ワークにより日中の在室時間が長くなったご家庭では、想定以上に室内の二酸化炭素濃度や湿度が高まっている可能性があります。働き方の変化に応じて、換気の頻度や方法を見直すことも、これからの時代の住まい方として意識していただきたいポイントです。だからこそ、こうした箇所を重点的に確認する調査の視点が重要になります。
内部結露のもうひとつの要因として、施工時期の気候条件も挙げられます。断熱材や防湿シートの施工が、湿度の高い梅雨時期や、逆に極端に乾燥した厳冬期に行われた場合、材料自体が施工時点である程度の水分や乾燥状態を含んでしまっている可能性があります。こうした施工時の初期含水率が、竣工後しばらくの間、内部結露に似た症状として現れることもあり、これは新築特有の一時的な現象として区別して考える必要がある場合もあります。私たちは調査の際、竣工時期や施工時の状況もあわせて伺いながら、症状の背景にある要因を丁寧に見極めるよう努めています。
新築引き渡し後1年間は、多くの住宅メーカーでアフター点検が実施されますが、この点検の際にカビや湿気に関する質問を積極的に投げかけることも有効です。専門的な調査までは必要ないと感じる段階でも、施工業者に率直に気になる点を伝えておくことで、早期の情報共有につながり、その後の対応がスムーズになる可能性があります。
5. 見た目では分からない湿気の蓄積を数値で確認する
高気密住宅だからこそ、定期的な数値でのチェックが有効です
高気密・高断熱住宅は、従来の住宅と比較して結露が発生しにくいというイメージを持たれがちですが、これは「窓の表面結露」に限った話であることが多く、壁の内部や収納スペースといった閉鎖的な空間では、むしろ湿気がこもりやすい可能性があることを見落とすべきではありません。
私たちが高気密住宅を調査する際には、含水率検査によって、クローゼットや押入れの壁面、家具の裏側、洗面所や浴室に隣接する壁など、空気の流れが滞りやすい箇所を重点的に確認します。窓には結露が見られなくても、これらの閉鎖的な空間では、想定以上に高い含水率が確認されるケースも少なくありません。
また、必要に応じて浮遊菌検査・落下菌検査を行うことで、空間全体の菌の状況もあわせて確認します。高気密住宅は空気の流れが計画換気システムに依存しているため、換気が不十分な状態が続くと、空間全体の菌の濃度が徐々に高まっていく可能性も考えられます。
こうした調査を通じて、「新築だから」「高気密・高断熱だから」という理由だけで安心するのではなく、実際の室内環境がどのような状態にあるのかを、数値によって定期的に確認することが、高気密住宅においては特に重要だと私たちは考えています。
調査の際には、可能な範囲で計画換気システムの給気口・排気口周辺の状態もあわせて確認します。フィルターの汚れ具合や、給気口が意図的に閉じられていないかといった点は、含水率の数値と組み合わせて評価することで、原因の特定により役立ちます。「換気システムに問題がありそうか」「生活習慣に起因する部分が大きいか」を切り分けてご説明することで、お客様にとって具体的で実行可能な対策をご提案できるよう努めています。
高気密住宅の調査では、住宅の気密性が高い分、一度発生した湿気やにおいが室内にこもりやすいという特性を踏まえた調査計画も重要になります。従来の住宅であれば自然に薄まっていたような菌の濃度も、高気密住宅では蓄積されやすい可能性があるため、浮遊菌検査・落下菌検査においても、複数の部屋、複数のタイミングでの測定を通じて、より実態に即したデータを得るよう心がけています。
調査の際、私たちは含水率検査の結果と、住宅の図面や換気システムの仕様書をあわせて確認することがあります。給気口の位置、排気口の位置、それぞれの部屋への空気の流れがどのように設計されているかを把握することで、実際の測定結果がなぜその数値になっているのかを、より論理的に説明することができます。単に「この壁の含水率が高いです」とお伝えするだけでなく、「この壁は給気口から遠く、空気の流れが届きにくい設計になっているため、他の壁と比較して湿気がこもりやすい可能性があります」というように、設計上の要因まで含めてご説明することを心がけています。
こうした設計に踏み込んだご説明ができるのは、私たちが長年、山形県内の多様な住宅を調査してきた経験の蓄積によるものです。従来型の住宅と高気密住宅とでは、湿気の発生源や蓄積のパターンが異なるため、それぞれに適した調査アプローチが必要になります。高気密住宅の増加に伴い、私たちも常に最新の住宅仕様への理解を深めながら、調査の精度向上に努めています。
住宅メーカーごとに採用している断熱工法や換気システムには特色があり、私たちはこれまでの調査経験を通じて、県内で多く採用されている工法についての知見も蓄積してきました。どのメーカーの住宅であっても公平な視点で現状を評価することを心がけながら、それぞれの工法特有の注意点も踏まえた調査を行うようにしています。
6. 高気密住宅で特に注意したいポイント
設計・施工段階から入居後の使い方まで、複数の視点でのチェックが必要です
高気密住宅においてカビリスクを抑えるためには、いくつかのポイントに注意することが大切です。まず、計画換気システムの給気口・排気口が正しく機能しているかを定期的に確認することです。フィルターの清掃頻度は住宅メーカーや機器によって異なりますが、目安として数ヶ月に一度は状態を確認することをおすすめします。
次に、家具の配置です。高気密住宅では室内の空気の流れが計画換気に依存しているため、給気口や排気口の周辺、あるいは室内の空気の通り道を家具でふさいでしまうと、想定していた換気効率が得られなくなる可能性があります。新居に家具を配置する際には、換気システムの図面や説明書を参考に、空気の流れを妨げない配置を意識していただくことをおすすめします。
また、24時間換気システムを安易に停止しないことも重要です。電気代や音が気になる場合は、まず住宅メーカーや施工業者に相談し、システムの調整や点検を依頼することをおすすめします。自己判断でシステムを停止してしまうと、想定していた換気計画全体が崩れてしまう可能性があります。
洗濯物の室内干しについても、高気密住宅では特に注意が必要です。気密性が高い分、室内干しによって発生した湿気が外部に排出されにくく、室内にこもりやすくなります。室内干しを行う場合は、除湿機や換気扇を併用するなど、追加的な湿気対策を意識していただくことをおすすめします。
観葉植物や水槽といったインテリアも、高気密住宅では湿度への影響を意識していただきたいアイテムです。気密性の低い住宅であれば自然に排出されていた余分な水分も、高気密住宅では室内にとどまりやすくなります。植物や水槽自体が悪いわけではありませんが、こうしたアイテムを多く配置される場合は、換気や除湿とのバランスを意識していただくとよいでしょう。
引き渡し時の説明も重要なポイントです。住宅メーカーや工務店から、換気システムの操作方法やメンテナンス方法について説明を受けていても、時間の経過とともに忘れてしまうことは珍しくありません。取扱説明書を保管しておき、気になる時に見返せるようにしておくことをおすすめします。
キッチンの換気扇の使い方も見直しておきたいポイントです。高気密住宅では、キッチンの換気扇(レンジフード)を強く稼働させると、住宅全体の気圧バランスが変化し、想定していない箇所から空気が引き込まれることがあります。これは「逆流」と呼ばれる現象につながる場合もあり、計画換気システムとキッチンの換気扇を同時に使用する際には、住宅の設計段階でこうした気圧バランスまで考慮されているかどうかも、重要な確認ポイントになります。気になる場合は、施工業者に相談してみることをおすすめします。
浴室乾燥機の使い方も見直しておきたい点です。浴室乾燥機は洗濯物の室内干しにも活用されることが多い設備ですが、使用後に浴室のドアや窓を開けたままにしておくと、乾燥によって発生した湿気が浴室外に流れ出し、脱衣所や隣接する部屋の湿度を上げてしまうことがあります。使用中はドアを閉め、換気扇と併用することで、浴室内で発生した湿気を効率よく排出することができます。
冬季の暖房方法についても触れておきます。高気密・高断熱住宅では、エアコンや床暖房など、比較的乾燥しにくい暖房方式が採用されることが多いのですが、これに石油ストーブなど燃焼系の暖房器具を併用すると、燃焼過程で水蒸気が発生し、室内湿度を予想以上に高めてしまうことがあります。高気密住宅における暖房器具の選び方や併用方法についても、換気とのバランスを意識していただくことをおすすめします。
加湿器の使用にも注意が必要です。冬場の乾燥対策として加湿器を使用されるご家庭は多いですが、高気密住宅では加湿された水分が排出されにくいため、過度な加湿は室内の相対湿度を必要以上に高めてしまう可能性があります。湿度計を設置し、適切な湿度範囲(一般的に40〜60%程度が目安とされています)を意識しながら使用することをおすすめします。
7. 新築・高気密住宅だからこそ、定期的な現状把握を
性能の高さに安心しきらず、実際の室内環境を確認する習慣を
ここまで、高気密・高断熱住宅において、なぜ換気不足がカビリスクにつながるのか、そのメカニズムを解説してきました。私たちMIST工法®カビバスターズ山形では、「新築だから」「高性能住宅だから」という理由だけで安心せず、実際の室内環境を数値で確認することをおすすめしています。
含水率検査による壁内部・収納スペースの湿気の数値化、浮遊菌検査・落下菌検査による空間全体の菌の状況把握を組み合わせ、高気密住宅特有のリスクを踏まえたうえで、分かりやすくご説明することを心がけております。
調査費用は建物の規模やカビの発生範囲によって変動するため、まずは無料相談の中でお住まいの状況を伺いながら、必要な調査内容をご提案させていただいております。「新築なのにクローゼットがにおう」「窓は結露しないのに壁のシミが気になる」という段階でも、遠慮なくご相談ください。
高気密・高断熱住宅は、正しく使い、正しく維持管理を行うことで、その優れた性能を十分に発揮できます。山形県内全域で高気密住宅の普及が進む中、私たちはその特性を理解した専門家として、皆様の新しい住まいを長く快適に保つお手伝いをしてまいります。
新築住宅の性能は年々向上しており、今後も高気密・高断熱化の流れは続いていくと考えられます。私たちは、この流れ自体を否定するのではなく、高性能住宅だからこそ必要になる新しい視点での維持管理を、地域の皆様に分かりやすくお伝えしていくことが、これからの私たちの役割のひとつだと考えています。
高気密・高断熱住宅を選ばれた方々は、快適な住環境を求めて、性能にこだわった選択をされた方が多いのではないかと思います。その選択が正しく報われるよう、換気という一見地味に思える要素にもしっかりと目を向けていただき、性能を最大限に活かした住まいづくりを続けていただければと願っています。
私たちは今後も、山形県内の住宅性能の変化に合わせて、調査手法や知見をアップデートし続けていく必要があると考えています。高気密・高断熱住宅というこれまでとは異なる住宅の在り方に対して、従来の経験だけに頼るのではなく、常に最新の建築知識と現場での実測データを組み合わせながら、お客様に的確なご提案をお届けできるよう努めてまいります。
山形県内で新築を検討されている方、すでに高気密住宅にお住まいの方、いずれの段階の方からのご相談も歓迎しております。「入居前に予防的な視点でアドバイスが欲しい」「入居後に気になる症状が出てきた」など、状況に応じた形でお力になれればと考えております。
高気密・高断熱化という全国的な住宅トレンドの中で、山形県の厳しい寒暖差という地域特性が組み合わさることで生まれる、この地域ならではの課題に向き合いながら、私たちは今後も現場での知見を積み重ねてまいります。まずは無料点検・含水率の確認から、ご自宅の"今"を正しく知ることから始めてみませんか。お問い合わせフォームより、山形県内のお客様からのご連絡をお待ちしております。まずは点検・含水率の確認から、ご自宅の"今"を正しく知ることから始めてみませんか。
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